ダージリン急行

監督:ウェス・アンダーソン
出演:オーウェン・ウィルソンエイドリアン・ブロディ
ジェイソン・シュワルツマンアンジェリカ・ヒューストン

映画を見ているとき食いつく部分として、「(まぁないけど、自分が)撮るとすればここはマネしたいな」というシーンで、結局それは「映画的」だと共感する場所でもある。

この映画には沢山そんなシーンがあった。冒頭のエイドリアン・ブロディが列車に飛び乗るスローモーションに続き、ビル・マーレイが悔しそうに追いかけるシーン。ジェイソン・シュワルツマンが列車からタバコを吸おうと顔を出すと、向こうで同じしぐさをする女性。途中下車して電話をかける舞台展開図のような姿。インドの集落へ行ったときの、各部屋を横断していくカメラ、同じように急行列車のなかを動く視点。

どれも絵としてキマっていて、そこだけ取り出しても成立しそうな充実感がある。いっぽうで話の展開上、自律し過ぎている場面とも捉えられるけれど、映画は結構めちゃくちゃに繋がっていても見る側の意思と釣り合う。これはTVドラマがウンザリするほど分かりやすい編集に頼っていると、時々感じる覚えと対になっている。