パラノイドパーク

監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ゲイブ・ネヴィンス、ダン・リウ ジェイク・ミラー、
テイラー・マムセン、ローレン・マッキニー、スコット・グリーン

パラノイドパークとは違法につくられたスケードボーダー達の公園で、ほとんどの床が滑るために作られた曲面を持っていて、そこを流れる姿がスローで写され、常に画面を見切ってしまうその動きは断片でしかないのだけれど、繰り返し違う人が列をなして滑っているせいで断片はループとなり、連続した動きとして感じられる。

主人公は女の子みたいに中性的な容姿で、彼女の性に対してよりもスケードボーダー達の動きに惹かれている。そんな彼の視線を通して画面から感じられるのは、ループとなって切れ目の無い動きへ中毒的に縛り付けられるような誘惑であって、ボーダー達へ転移していく彼の感覚だ。

いっぽうで、流動性の高い社会において関係構築の機会は減少し、大他者から見られることを指向する男性的な主体自体が変化している現代で、男の子が多人数で遊ぶ場所としてもつパラノイドパークの象徴性は際立っている。

ガス・ヴァン・サントは毎回違ったアプローチで映画を作っているようで、結果的にいつも「青春映画」になっている所が興味深い。今回は「多感な思春期の心に宿る、危うく透明な心象風景」がずっと続く。映像は空気となって部屋全体に広がり、音楽は振動となって体へ伝わり、そこへ思春期のもろく儚い鋭利さが時より切りつけてくるようで痛い。

さらに時間軸を前後させているせいか、または鈴木清順ツィゴイネルワイゼン』のようにスタンダードサイズによるものなのか、閉塞感が襲ってくる。刹那を生きる思春期の心にこびりついた、行き場のない不安が同期してくるように。